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FILM MAKER TAKESHI IKEDA
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2005年05月14日(土) 伝え続けられる想い

もちろん日本人であるが故、日本でのロケも外せなかった。
イタリアにいながらコンタクトをとっていた何人かの日本人の方と会うことにしていた。
これは必ず作品に広がりを与えてくれるはずである。

最初の頃の制作日誌を読み返していくとわかることだが,
日が経つにつれ世界がふくらんでいる。
当初は職人そのものだけを取り上げるつもりしかなかったが、
その職人を深く知るためにあらゆる角度から切り込むことの重要性に気がつくようになった。

誰でもいい


同じ職人仲間から本人を知ることはもちろん、
職人の作品を直接手にする「お客さん」から知ることも必要としていた。
想いが強いと願いは通じるものである。
昨年末ひょんなことから、マルコにコントラバス製作を依頼した日本人と知り合う機会があった。
「お客さん」が日本人であろうとイタリア人であろうとドイツ人であろうと、
コミュニケーションがとれれば僕にとっては誰でもよかった。
マルコの「お客さん」であることが大切であった。

僕にとって彼との出会いは奇跡のようであった。
彼の名は新谷康之さん。
彼の方からコンタクトを取っていただいて、マルコと出会ったいきさつなどを聞いていた。
正に僕が欲していたことだった。

自分だけの想いなら、自己中心的な表現にしかならない。
それはいわゆる自主映画レベルでとどまるものである。
僕が求めているのは自分のオリジナリティを崩さず、
自分の世界だけに陥ってない作品作りであった。
ということは僕の感じるマルコ、それに近いものを感じている人を取り上げる必要性があった。

それは確かに「誰でもよかった」のだが、マルコの周辺の人であれば、
僕の想いと通じているであろう、という確信があったから言えることであった。
新谷さんがマルコに製作を依頼された理由などを聞くうちに、
僕にとってはいつしか新谷さんでなくてはならなくなっていた。

鈴木さん、アントニオさん、長野さん、トラブッキ、
マルコファミリーと呼ばれる何人かの人々と出会うことがあったが、
誰もが僕を「温かく」迎えてくださった。


自然体から溢れ出すもの


そしてこの日の新谷さん。
電話で声を聞くことはもちろん、会うことすら始めてであった。
僕は彼からコンタクトをいただいたときからいろいろなことを聞き、何件かお願いもしていた。
そんな中でも僕の真意を理解して下さっていたようで、
毎回僕のお願い以上のものを返してくださっていた。

彼と出会うにあたって撮影プランなど何も考えずにいた。
それはある意味賭けともいえるが、僕はその方がいいものが撮れるような気がしていた。
新谷さんに対しても変に気負わせたくもなく、ありのままがよかったからだ。

インタビューなどというと人は緊張して固くなってしまうものである。
彼の自宅であることもあったのか、新谷さんはとてもリラックスして、よく話してくださった。
サービス精神が旺盛で僕の方からお願いしたいことをよくご理解していたようで、
何も言わずとも、楽器の解説や比較、演奏もすすんでしてくださった。

以前から愛用していたコントラバスとマルコのコントラバスの比較だが、
重さの違い、大きさの違いはもちろん、何といっても音の違い、
これがまったくド素人の僕ですらよくわかったので、とてつもなく感動した。
と同時にマエストロの楽器の偉大さ、それに魅せられる人の気持ち、
すべて光が射してパーッと開けて見えたような気がした。
さらに確信できた。

本来への回帰


彼にインタビューしていても,実際彼の言葉にも嬉しさ、楽しさがあふれ返っていた。
それらを実際におさめたものを見てもらえたら、
マルコ・ノッリという人間が一体何者なのかが一目瞭然だろう。
そばにいる僕ですらも楽しくなっていた。

人の心に潤いを与える。
人の心を子供に返させる。
そんなマルコ自身が潤いのある子供のようにも思える。

僕の創る作品に新たな世界を付け加えてくださった影の演出家・新谷さんには感謝しています。
僕の見えなかったとこにあるものを手繰り寄せて、光をあてて見せてくださりました。
きっと新谷さんの喜びは人に伝わるでしょう。
それは僕の作品から、そしてもちろん新谷さんの演奏からも。
そんな喜びを提供して下さったマエストロは偉大だ。
実際に会わずとも、遠く海を隔てても想いは確実に伝わっている。
僕が証人としてその「想い」をマエストロに、そして皆さんにお届けします。

本編での新谷さんのシーンは30秒にもならないだろうが、
この映画にとっては欠かせない大切な場面である。


※黄色い服の新谷さんの写真は、新谷さんご本人からご提供いただきました。



コメント

■伝え続けられる想い

日本でのロケに関してはまったく撮影プランをたてておらず、
必要とする画を持ち帰れるものか、一か八かの勝負であったことも本当のところです。
そこで心配しなくとも、プランを立ていくよりいいものが撮れる気がしていました。
いいイメージをしていると不思議と自然にそういう方向へと向かっていくように思います
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池田 剛 2005/07/05 07:17


■Re:伝え続けられる想い

祝!私の写真が載りました(笑)。
私の楽器は楽器のメンテナンスをしてくださるリペアマンの職人、
楽器商の方、先生、私の楽団の中でも人気者です。
何か、イタリア職人のただならぬものを、コントラバスを知る人・知らない人を問わず感じ取っているようで、
池田さんの取材の後も沢山の褒め言葉?を沢山頂いています。

良い楽器というのは実に音程が取り易くて、以前は弾けなかったハイポジション
(弦長の半分よりも駒側を弾いて出す高い音)のソロも弾けるようになりました。
良い楽器はプレイヤーを育て、良いプレイヤーは楽器を育てるといいますが、まさにこの度は育てていただいています。
イタリア職人のコントラバスは最高です。

池田さんのおっしゃるとおり、私自身ものすごく喜んでいますので、
是非良い映画を作ってください。応援しています。

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新谷康之 2005/07/06 03:28


■作品の中の感情が醸し出すもの

そうですね。
新谷さんとお会いしたときにもそうおっしゃられていましたね。
プレーヤーだけではなく、その周りの人々まで巻き込んでしまう楽器。
人を魅了させる何かが込められているのでしょう。
たった一つの作品が人々にプラスの感情を与えていく。
笑顔と温度を振りまいていくというのは、この作品を含め、僕が生きる上でのテーマにしていることです。
そんな技を提供してくれる職人からはいろいろと学んでいきたいです。
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池田 剛 2005/07/09 07:34

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